MODE JAPAN Blog

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【開発の裏側】MODEセンサークラウド、屋外工事現場の動画収集が可能に ~産業用カメラによる長時間クラウド録画に対応~

2021年12月9日、MODEは「MODEセンサークラウド、屋外工事現場の動画収集が可能に ~産業用カメラによる長時間クラウド録画に対応~」というプレスリリースを発表しました。今日は、CEOの上田、開発を担当したソフトウェアエンジニアのMasa Jowと松下の3名に、新機能について話を聞きました。

 

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左から上田、Masa Jow、松下

Q:今回の録画機能拡張というのは、MODEのサービスの中でどういう位置付けですか?

 

上田:産業用カメラの録画データをクラウドに集められるようになりました。

 

松下:建設現場とかで使えるような産業用カメラに対応しているクラウドサービスはほぼないですが、それをMODEはできるようになりました。

 

上田:クラウドに動画を記録するサービスは世の中に結構あるんですけど、使えるカメラがだいたい決まっています。お店や家に置いて監視カメラとして使うようなものが多くて、ガンガン工事をしているような厳しい環境で使えるカメラのクラウドサービスって、多分世の中にないんですよね。コンシューマーやお店では必要ないですからね。

 

松下:MODEにはカメラデバイスを扱う共通基盤があるので、個別カメラ向けの対応を少し入れてあげれば、様々なカメラに対応できるようになります。

 

上田:だから、水中カメラとかでも多分できるだろうし、赤外線カメラの対応もできます。



Q:新しい機能について教えてください。

 

MJ:産業用カメラメーカーのLUCID Vision Labs社(https://thinklucid.com/ja/)のハイエンド産業用カメラに対応しました。

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LUCID社の産業用カメラ

松下:こうした産業用カメラは防水・防塵対応となっていて工事現場のような過酷な環境でも設置できるのが特徴です。

 

上田:MODEセンサークラウドで、安価なWebカメラから防水防塵の産業用カメラまで、幅広い種類のカメラを選べるようになったという特徴もあります。

 

MJ:前は録画される動画は短いクリップでしたが、今度は20〜30分に分割された形で、最長4時間、録画できる様になりました。LUCIDカメラは2台まで接続できます。カメラの性能をフルに生かした高精細録画による2台同時録画はゲートウェイの性能上難しいのですが、Webサイズにビデオ処理して、クラウドへと送信します。

 

2台同時接続は車輌からデータ収集を行うMODEモビリティクラウドでも行っていて、そちらでは車の外側と内側を録画していました。今回のはMODEセンサークラウドの録画機能拡張ですが、MODEモビリティクラウドと同じインフラを使用しています。

 

また、ゲートウェイが起動したら、それに連動して自動的に録画が始まるようにセットアップすることも可能です。

 

上田:以前は録画を開始させるためにはコマンドを送るとか、センサーデータをトリガにする必要があったのですが、新しいのはゲートウェイの電源が入るとそのまま録画が開始する構成にできるようになったんです。



Q:ゲートウェイの電源が入ると録画が開始するようにした背景には、どういったニーズがあったのでしょうか?

 

松下:そもそもトリガが決められないような利用シーンがあり、こういう場合は全部撮るしかないよねという話はありました。あとは実際の作業現場では、わざわざブラウザからMODEセンサークラウドを立ち上げて、録画のためにクラウドにアクセスするというような手間をかけられないこともあります。そういう背景から、ゲートウェイが起動したら自動的に録画を開始できるようにしました。

 

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Q:今回の開発では、ビデオ処理がカメラ内部ではなくゲートウェイで行ったと伺いましたが、どんな技術的チャレンジがありましたか?

 

MJ:今回のカメラはカメラの映像が生のRGBのデータとしてPCに送られ、PC側のSDKで動画を生成するというような構成になっていました。カメラ自体が数百メートル先にあって、そこからデータを送ってくるような感じですね。

 

上田:つまり、アニメーションのように、一つ一つのフレームを繋げてビデオに変換するということですね?

 

MJ:はい。最高画質のものにするとネットワークの全ての帯域幅を占めてしまうので、こちらをうまく調整することにしました。動画はすでに開発してあった動画生成パイプラインを使って生成しています。LUCIDのビデオドライバーでは主にC++のAPIを使っています。

 

上田:特殊なカメラというのは扱いが簡単ではないのですが、MODEでは汎用的な動画収集フレームワークを持っているので、様々な種類のカメラ対応を大掛かりな開発をすることなく行うことができます。




Q:新機能はどういう場面で必要なのでしょうか?

 

松下:お客様の話では、リアルタイムで何かを見るというより、現場の記録として残すことで、将来の業務をより良くするということで使われるそうです。

 

上田:今までの仕組みだとデータは SD カードや現場のコンピューターに入ってくるんですけど、現場って日本中にありますよね。日本全国で取得したデータを全て本社に集めるということが、多分難しいんです。どうやって整理して置いておくのかとか、どこかにアップロードするにしても、サーバーにそのまま入れても活用方法が難しい。撮影した動画データも、すぐには見られない上に、整理されていないというところが問題なんです。



Q:MODEを使えば手間なく回収できるという訳ですね?

 

上田:はい。本社で全部回収して管理できるというところが結構大事なんです。例えば、工事現場が全国に100カ所とかあるとして、そこで行われている工事を全部撮影したいと仮定します。でも、人間が管理するとメモリカードを失くしちゃったり、整理しきれなかったり、あと人件費もすごいかかっちゃうんですね。

 

それが、MODEを使ってIoTで自動化してクラウドにアップロードすれば、基本的には人間が関わらずに全国100箇所の動画を毎日自動で集められるようになります。

 

Q:他にこの新機能の活用例はありますか?

 

MJ:機械学習などの学習用データの収集・活用にはピッタリですね。

 

松下:以前、機械学習が判定した結果が合ってるのか間違っているのか分からないので、人間がそれを一つ一つ確認して、突き合わせしたいというお問い合わせがありました。

 

上田:短い録画時間の動画クリップだと、逃している場面があるからダメなんですね。

機械学習の学習データって、集めるのが結構大変なんですが、人工知能(AI)の機械学習って、データがあればあるほど良いんです。

 

アメリカの自動運転の研究開発をやっている所は、たくさんの車をとにかく走らせてデータを大量に集めてるんですけど、日本の自動車業界だと、試験車両が1台だけあって、それを走らせたデータを一生懸命細かく分析していたりするんですね。ただ性能の高いAIを作るためにはありとあらゆる場面のデータというのが必要なんです。弱いAIって例外的なケースにあまり対応できないというか…。例えば道路に鹿が出てきた時って、同じ状況のデータから学習させないと対応できないんですよね。車を多く走らせれば、そういう学習データが取れたりもするんだけど、1台でやったら、鹿が飛び出したデータはないかもしれませんよね。

 

松下:クラウドに動画が自動で上がるという点でも、AI開発会社さんにとっても役に立てるのかなと思っています。AIの学習用データをお客さんがSDカードで持っていたら、わざわざ他と連携する仕組みを作らないといけないんですけど、クラウドだとシームレスな連携ができる。

 

上田:お客さんがAI会社と協業するのが簡単になりますね。AI開発会社は、学習データがないとAIを作れないんですけど、SDカードで集めて送ったりするより、自動でクラウドでどんどん集められるようになれば、プロセスが簡単になりますね。AI開発会社さんにとっても、データを集めやすくなるんじゃないかな。

 

MODEはどんなカメラでも使えるような仕組みを作ったので、特殊なカメラを持っていて、IoTでクラウドに繋ぎたい方は、ぜひご連絡ください!

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まとめ:

MODEの動画収集基盤によって産業用カメラなど特殊なカメラからの動画収集が可能になりました。また、加工していない状態の録画データ(生データ)の長時間録画が可能になったことで、画像処理AIのための学習データの自動化が可能になりました。

 

お客様のご要望に合わせて、自在にカスタマイズできるフレキシブルなクラウドサービスです。IoT経験が浅いお客様にも安心してお使いいただけるよう、コンサルティングサービスなどもご用意していますので、ぜひお気軽にご相談くださいませ。





※「 LUCID」 は、LUCID Vision Labs Inc.の登録商標または商標です。